日常を鮮やかに描く言葉の力 神田茜(前編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第21回

師匠のひと言が道を決めた

― やさしい師匠ですね。

 やさしいんです。ある時「君は絵が好きなんだから、紙芝居をやってみたらどうだ」って、なんとか講釈師として生きていける道を探してくれました。

― 私も「女子プロレスによるコーダン界活性化の物語」という作品を見たことがあります。絵は得意なんですか。

 好きで、色々と描いていました。頼まれてチラシや葉書を書いたりもしていました。

 「君は新作が得意なんだから、それを続けなさい」って、師匠も新作を手掛けていましたから、後押ししてもらえました。

 文化服装学院にいたこともあって、洋服は大好きだったんです。前座の頃、ミニスカートを履いて師匠のカバン持ちをしていたんですね。師匠は中村屋のカリーが大好きだったので、いつも連れて行ってくれるんです。ある時、低い椅子の時があって、どうやら下着が見えてしまったようなんです。その時に「君はスカートを履かない方がいいね」って。足も太かったし、それから師匠の前では履かないようにしました(笑)。

 その頃、衿ぐりの広い洋服を着て寄席に行って三つ指ついて挨拶をしたら、胸が見えそうだったらしくて、女性の先輩から「若い男性の前座さんばかりなんだから、肌のなるべく見えない服にするように」と注意されました。

 前座として本牧亭に入ってすぐに、一ヵ月ぐらいで空板(からいた)でした。

 その時は、客席に二人いました。(神田)南陽兄さんの前の出番で、『佐野源左衛門の駆け付け』の途中まで。とにかく滑舌が悪かったので、この子はすぐに辞めるだろうと思われていたようです。

(以上、敬称略)

神田茜 X

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〈中編〉に続く)