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夏川を 越す相方の 手を引いて

「朝橘目線」 第15回

 コロナ禍でひそかな趣味もできた。自転車に乗る、いわゆるサイクリングというやつだ。

 と言っても、傘の柄みたいな曲がり方したハンドルと、側溝の隙間にすっぽりはまりそうな幅のタイヤがついたスポーティな車体に、マラソンの後半で投げ捨てたらさぞかし絵になりそうなサングラスかけて、『FFⅣ』の魔導船みたいな形したヘルメットかぶって、ピチピチした服にウエストポーチ巻いて、軽そうな水筒持って、颯爽と山を駆け抜けるわけでは決してない。

 私の相方は、ごく普通のカゴ付き自転車。買ったのは、所帯持って少し経った頃。まず一台、近所の自転車屋さんで買った。

 しばらくして、夫婦二人で出かけるためには二台必要だという、小学一年生レベルの算数に気づいた。二台目は、妻が選んだ。濃い緑色の車体にカゴがついた、小柄なのが可愛い自転車だった。収容スペースの都合で、大きいのが好ましくなかったという事情も影響しているが。

 その後、2019年に長女が生まれ、2021年には次女が生まれ、保育園の送り迎えにどうしても子乗せ自転車が必要になった。最初に買った一台をやむなく処分し、子ども二人搭載可能な電動アシスト自転車を我が家に迎えた。

 そちらは妻用ということになり、小柄な子が私の担当になった。