霊んメイカー

「マクラになるかも知れない話」 第十二回

ごめんネズミさん

 何かの論文で読んだのですが、「恐怖症」というものは遺伝している可能性があるというものがありまして、別に高いところで怖い思いをしたことはないにもかかわらず、高いところが無性に怖いということがある。

 「こりゃ一体、何だろう?」ということで、ネズミさんにお出まし願って実験をしてみました。

 内容はネズミさんの脳波を感知するチップをつけて、桜の匂いを嗅がせる。ネズミさんが桜の匂いを感じた脳波が計測されたら、足にピリッとくるくらいの電流を流す。ネズミさんびっくりしてそこから逃げる。

 これを何回か繰り返して、“桜の匂いを感じた途端にそこから逃げ出す”ネズミさんになってもらう。桜の匂い恐怖症ですね。かわいそうネズミさん。

 んで、その子どものネズミさんにもおんなじことをする。ごめんネズミさん。

 そんで、その子どものネズミさんにもおんなじことをする。ごめんて。

 これを繰り返していくうちに、何世代目かのネズミさんの中に、“初めて桜の匂いを嗅いだのにその場から逃げ出す”個体が現れるそうです。恐怖が遺伝しているかもというわけ。

 もしあなたが高いところに登ったこともないのに、高いところが妙に怖い場合、あなたのご先祖様の中に高いところで怖い思いをした方がいるかもしれない。

 これかもしれない――。

 昔、ある場所でたいへんに怖い思いをして亡くなった方がいて、種としての人類的にはそんな怖いことがあった場所には近寄らない方がよい。

 なので、その亡くなった方が今のところ“怨念”とか呼ばれる何らかの物質をその場に残して亡くなって、後からそこに来た人がその物質に触れて“怖い思い”を脳内に再生し、「ここは近寄ってはならん」ということになる。

 この物質が解明されていないだけだと。

 いろんな現象に、こういった“まだ解明されていないもの”が絡んでいるのではないかというのが「なんかあるだろう派」です。「幽霊はいない」ではなくて、「ちゃんと解明されていない」というわけ。