霊んメイカー

「マクラになるかも知れない話」 第十二回

怪談のたまご

 翌朝のことである。

 朝食のときに「昨日の夜中に赤ちゃんの泣く声がした」という子どもが何人も出てきた。これはしょうがない。確かに泣き声はしたのだ。それは間違いない。

 しかし、そこから

 「泣き声は明け方まで鳴り止まなかった」
 「犬や猫の鳴き声もしていた」
 「赤ちゃんの泣き声は複数らしかった」
 「泣き止め、泣き止め、という女の声もした」
 「廊下を何者かが歩き回る音がした」

 と、おかしな証言が出てきた。

 私は確かに言うことができるが、あの晩は「赤ん坊の泣く声が一度聞こえた」だけである。しかし、ほかの証言をする子どもたちは嘘をついているようには見えない。おそらくパニックになってあらぬ妄想をしてそれを本当のことだと自身で思い込んでいるのだろう。

 犬の声も女性の声もしていない。あと「廊下を何者かが歩き回る音」は多分、僕と友人だ。

 この様子を見て「ああ、怖い話なんてだいたいこうやってできるのかな」と妙に冷めた思いになった。赤ん坊の声がしたことは間違いないが、窓もドアも開け放していたのだから、上か下の階に赤ん坊がいたとかいくらでも説明はつく。

 「一度聞こえた」というのは少し怖いと当時は思ったが、今子育てしていてわかるが、謎に一声だけ寝ぼけて泣くことは珍しくない。

 ほんの少しのとっかかりがあって、そこから尾ひれがついて怖い話は作られるのだ。それから僕は「幽霊全く信じてない派」になり、怖い話は良い創作物として楽しむようになった。

 ではなぜそこから「なんかあるだろう派」になったのか。

 それは次回に書こうと思う(初の月またぎ!!)

萬ちゃんメモ日記(2026年6月後半から7月前半)


6月28日(日)
 川越にて三遊亭窓里師匠と仕事。笑顔で「絶対ウケてね!」と楽屋を送り出される。

7月5日(日)
 平塚七夕祭りで一席。着物で歩いているところを「噺家さんですか?」と呼び止められて驚く。

7月9日(木)
 春風亭一之輔師匠に「萬都は30過ぎの男にしては目がきれいすぎないか」と心配される。

7月11日(土)~7月20日(月祝)
 師匠萬窓が寄席でトリを取る。7月の中席になぜか仕事が集中していた萬都は寄席出演も重なってえらいことになる。たいへん勉強になった。

 この夏は何度か怪談の会をやるのでよろしく!

 ではまた次回!!

三遊亭萬都公式サイト

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(毎月25日頃、配信予定)

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