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揺れ動いた、30代最後・熊本での夏

「ピン芸人・服部拓也のエンタメを抱きしめて」 第15回

屋台の誘惑

 印象的だったのは、「金魚すくい」ならぬ、「スーパーボールすくい」だった。

 金魚用のポイで、専用のプールに浮いたゴム製のボールを何個すくえるか、親戚と争った。何度も挑戦し、事前にポイの張り方すら研究し、ポイが破れるまで、お椀から溢れそうになるまですくった。

 最初の頃は、お椀に取ったボールは全部もらえていたが、いつ頃からか取った中から5個しかもらえないようになった。新しいルールを私たちは作ったのかもしれない。

 1年に一度しか会わない、その店番のヤンチャで綺麗なお姉さんが、金髪から年々清楚な大人になっていくのも記憶している。私は毎年、ひと夏の恋をしていたのかもしれない。

 さらに「宝つり」という、魅惑的な屋台が好きだった。

 ガラスケースの中にいろんなオモチャが入っており、ガラスケースから伸びているオモチャに結ばれた大量の紐を1本引っ張り、つながったオモチャ(景品)がゲットできるという仕組み。1等には、当時の大人気ゲーム機「スーパーファミコン」や「プレイステーション」、社会現象にもなった育成電子ゲーム「たまごっち」などが並ぶ。

 1回300円で何度も課金したことか。子供ながらどうせ当たらないだろうと思いつつ、胸を熱くさせて推定原価46円ほどのプラスチックの水鉄砲や、紙でできた、先端が笛のオモチャ(推定原価23円)や、名前のわからないオモチャをよくゲットしたものだ。

 今思えば、1等のゲーム機が当たるかもしれないという小さなギャンブル性と、紐を引っ張ることで、何かがもらえるというワクワク感にお金を払っていたのかもしれない。夏になると、そんな素敵な記憶を必ず思い出す。

 20代のいつかは忘れたが、たぶん一度くらいは祭りの時期に熊本に帰っているはずだ。それ以来、今年は10数年ぶりにお盆に帰省し、2024年から3年連続で開催が決まった地元でのイベント「三遊亭円丈・服部拓也 同郷二人会 かえる公園」の宣伝も兼ねて、地元の祭りを堪能しようと目論んでいた。