女性講釈師の歴史をたどる

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第47回

新聞に眠っていた女性講釈師・桃井龍女

 そして今回、残された記事等から、明治のかなり早い時期に活動をしていた女性講釈師を見つけることができた。明治8年(1875年)10月27日の読売新聞の次の記事である(文中、適宜、読みやすいように句読点を付した)。

 この桃井龍女(ももいりゅうじょ)という講釈師の経歴がまたわからない。文の中身は講釈についてではなく、当時の女性の独立や男女同権問題にあると言え、そういう見方をすれば、その正体は先に挙げた「講演師」に近いのかも知れない。

 一方で、明治期に松林伯圓(二代目)が「新聞講談」や、当時の社会や政治についての講談を読んで話題を呼んだということ。江戸から明治へと時代が代わり、講談という芸そのものが形態を変えていったということを考慮すれば、実際に釈場に上がって、新種講談を読んだことも考えられる。

 こうして新聞、雑誌に目を通していくと、同時代に活躍し、注目を浴びた女義太夫などについては、それに関する記事をたびたび見掛けるものの、講談に関しては、明治期となると先に挙げた本荘幽蘭に尽きてしまい、最初に記したように、昭和以前の女性講釈師の姿はなかなか見えてこない。

 やはり、女性講釈師の確固とした登場は、昭和40年~50年代以降となるのか。そのあたりも含めて、次月以降も続くだろう今後のインタビューから、回答が見つけられればと思っている。

 いささか青臭い表現ではあるが、様々な芸風や講談への取り組みで、現代の講談界の支えとなっている女性講釈師が、昨今のジェンダーレスの時代に、「女性」、ひいては「女流」という冠が取れるくらいに、今後ますます活躍を見せていく様もまた追っていきたいと思っている。その時にまた、新しい講談史や講釈師史が語られるのではないか。それが現段階での結論としたら、無責任であろうか(この項終わり)。

(文中、敬称略)

瀧口雅仁 X

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  • 書名 : 問題の女 本荘幽蘭伝
  • 著者 : 平山亜佐子
  • 出版社 : 平凡社
  • 書店発売日 :2021年10月
  • ISBN : 9784582838640
  • 判型・ページ数 : 四六判・342ページ
  • 定価 : 3,080円(本体2,800円+税)

(了)