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苦しみを、人生の片隅へ

「噺家渡世の余生な噺」 第17回

許せない自分を、まず許す

 話をSNSに戻そう。

 投稿した同輩は、相当な覚悟をしていたのだと思う。自分が受けたことを、あえて世間に向けて言葉にする。批判されることも分かっているだろう。一度、インターネットに出した言葉は、簡単には消えない。

 私にはできない。相手がまだ生きているからなのか。批判されるのが怖いからなのか。それとも、私自身がまだ、その出来事から完全には自由になっていないからなのか。

 ただ、その同輩に一つだけ伝えることができるなら、こう伝えたい。

 「許せない自分を、まず許してあげてほしい」

 忘れられなくてもいい。許せなくてもいい。「あのことを許せない自分は、なんて嫌な人間なんだ」と、自分自身まで責める必要はない。自分を傷つけた人のために、自分まで自分を傷つける必要はないからだ。

 人間は、他人を許すことより、自分を許すことのほうが難しい。

それでも今日を笑って生きていく

 苦しみは、ただ時間が過ぎれば消えていくものなのだろうか。

 私は、そうは思いたくない。生きているうちに、少しずつでいい。自分の人生から、苦しみに奪われる時間を取り戻していく。

 忘れられなくてもいい。許せなくてもいい。ただ、今日を生きる。明日も生きる。そのうち、気がつけば、昨日まで自分を苦しめていたものが、人生の片隅で小さくなっていることがある。それで十分なのだと思う。

 苦しみが消えるのを待つのではない。苦しみのほうを、自分の人生から少しずつ遠ざけていく。それもまた、生きていくということなのだろう。

 今日も私は笑いとともに生きていく。

(文中、敬称略)

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