2026年9月の最前線 【前編】 (聴講記:南陵忌)
「講談最前線」 第27回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/09/17
なみはや講談協会会員がお出迎え
慣れない会場なので早めに訪れると、会場の外では旧知のご常連さんと住職が雑談をしていた。この雑談がまた、歴史に基づく話の連続で勉強になる。
まだまだ暑い日で、少しでも涼をとれるようにと、開場を早めてくれたことに感謝。高座の上手側には三代目の遺影が掲げられていた。その生の高座には間に合わなかったが、音に残す『矢矧橋』や『善悪二筋道』の楽しさを思い出しながら、開演までしばし待機。
以下、時系列で。
18:00 ご挨拶
なみはや講談協会会員がお揃いの名入り半纏を着て入場(左燕のみ未着用)。5月に倒れ、緊急搬送された旭堂南鱗先生の話題から。7割以上ダメだろうと医者に言われていたとは、まったくもってシャレにならん話。もうすぐ彼岸というところで、このおっさん(三代目南陵の写真を指差して)に「帰れ!」と言われたとか。とにかく元気で、会員が揃って今年の「南陵忌」を迎えられてよかった。

18:11 旭堂左燕「太閤記 ~岩倉攻め」
先の旭堂南華会長のインタビューでも触れられていたように、今年の4月に晴れて「なみはや講談協会」の会員となり、今回の会に出演。
織田信長が尾張統一へと向かう中で、重要な意味を持った合戦絵巻。秀吉は城の周りに生える樹木を切り、柴田勝家の進軍を助ける。その木を燃やして、織田信賢をあぶり出す作戦を「バルサン攻め」とは絶妙なたとえ。三代目の孫弟子の一人として、真っ直ぐ話に向かう姿勢は、相変わらずの好印象。
18:23 旭堂一海「頼朝の夜這い」
今日の催しについての説明後、「この日にふさわしい演目を」と、まずは笑いを。
伊豆に流された頼朝は、安達藤九郎(盛長)から挙兵を迫られるも念仏三昧。ところがある時、伊東祐親の娘である八重姫に懸想をし……と、演題からもわかるように、ケレン味たっぷり、笑い多め、それでいて元気で、確たる読みという、今、上方と言わず、これだけ読める若手講釈師がいるだろうかというような高座。頼朝のどこかお坊ちゃま気質でありながら、女性に秋波を送る様を真面目に読むからこそ、その滑稽な様子が伝わってくる。
18:40 旭堂南鱗「越の海」
本人の口から改めて5月に緊急入院した経緯と、芸歴50周年の会も外出を2時間だけ許されて、15分だけ高座を務めて病院へ。その間、大好きな相撲中継を見ることだけが楽しみであったというマクラから本題へ。
普段聞き慣れている東京版とは細かな設定が異なっており(例えば、柏戸が新潟巡業の際に東屋という宿の旦那の依頼で越の海勇蔵を預かる。勇蔵は江戸に出る前に修業の厳しさを教えられる等々)、興味津々で拝聴。いつもより口調が緩やかでありながらも、そこに表れる丁寧さが、出世談に伴う流れるような展開を活かしていた。
まだまだお聴きしたいだけに、健康第一を願いたい。
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