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上方講談の伝統を未来へ繋ぐ、継承者にして開拓者 旭堂南華(中編②)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第36回
- 講談
後継者育成の現場――面白くなる未来への手応え
現在、南華が会長を務める「なみはや講談協会」については、『上方講談という愉しみ』(寿郎社)に詳しいが、三代目旭堂南陵の直弟子たちで2017年に結成された会で、現在は南鱗、南華、南海、南湖、鱗林、一海、左燕(南北は2025年6月退会、左南陵は会友)で運営されている(2026年5月現在)。
その名の由来は、先の著から引用すると、〈大阪ミナミの喫茶店できょうだい弟子が集まって皆で協会の名前を考えていた時のこと、初代会長となる南鱗兄さんが言いました。「大阪らしい名前がええんと思うんや。“なみはや”はどうや」「いいですね。音の響きもいいですし」と南海。「漢字で浪速て書くか」と南鱗兄さん。「う~ん、漢字で“浪速”では“なみはや”と読んでもらいにくいんとちがいますか」と私。〉と、この「私」が南華で、こうして協会の名が付けられたという次第。
―― 先生が会長を務めている「なみはや講談協会」が2023年6月に一般社団法人化されましたが、最近の活動はいかがですか。
南華 昨年、南北兄さんが一旦退会しましたので、今は左燕を入れて7人です。
―― 名古屋にいらっしゃる左燕さんはどうなるんでしょうか。
南華 彼はこの4月に年季明けするんです。南湖とかが大阪に呼んでいて、昨年の11月だったかに、「年季が明けるんで、入れたらどうですか」と言われて、今、なみはやにいる人の弟子は自動的に入っていいことになってます。左南陵兄さんの弟子なので、年季明けまで様子を見ることになりました。私ね、こう見えても、行儀にめちゃくちゃうるさいんですよ。陰でみんなが嫌がるぐらいで、(笑福亭)たまさんに「それは、南華先生のルールですよ」って言われることがあるぐらい、挨拶に行儀、礼儀にうるさいんで、厳し目に見ているんです。
左南陵兄さんも何も言わんから、左燕には一個一個教えてきました。こないだ左燕に「今日は兄さん、何してはんの?」と聞いたら、「わかりません」「入ったばかりやったら、毎日、師匠のところへいかなかったらいけないくらいやで」と教えたり、一番最初に手伝いに来たいと言った時に、着物も畳まれへんから、何を手伝いに来たんや!って心の中で思って(笑)。うちはみんな基本優しいっていうか。でも私は「なみはや」を名乗るんだったら、礼儀正しくしてもらわんといけないと、一々うるさいんで、周りは「また何か言うとるわ」みたいな感じだと思うんです。
それでも最近は左燕も「それはおかしいよ」と言うと、「はい、わかりました! 申し訳ございません!」って、言うのはすごい力があります。「そこまでかしこまらんくてもええけど」って(笑)。南鱗兄さんも楽屋で一緒で、その時は何もすることがないし、椅子が三つあるので「そこへ座っとけ」言ったら、「はい!」って言って座らない。「三回言ったのに座らないから腹立った」って、私はめっちゃ面白かったけど、「俺が気遣うやろ」とか言うから、「お兄さん、それは直接言わな、わからんよ。立ってる分には失礼には当たらないと思うとるんやからな」って言いました(笑)。ほかの者も何も言わないから、この間も私が言ったら、「はい!」。最後は向こうも笑ってましたから、「笑いごとやない!」って。
―― 後継者を育てるのも大変ですね。でも弟子が来るということは、それだけ講談に魅力を感じている若者がいるということですよね。
南華 左南陵兄さんも「弟子に来たいという奴がいるんだよ。大須の楽屋口でタバコ咥えたら来て」って言うんで、「なんてけったいな子やろ」思いましたが、南湖のところで習っていたそうで。「お兄さんのところに弟子が来るなんて、そんなこと次はないだろうから、取ったら」って言ったら、「弟子は金がかかるからな」「お金はかかるけど、そりゃ何とかなるだろう。どうせ食べさせるとか、そういうのはせんのやろう」言うたら、「まぁ、そうだけどなあ」って(笑)。
こっちへ来た時に、ネタを教わったりして、私も師匠から習ったベタベタの大阪弁での『木津勘』を教えたりしました。まだ固いし、『寛政力士伝』なんか暗い顔してやるから、「空板(からいた:前座のこと)でそんな暗い顔でやるのはやめて。もっと明るくやり」言うてます。そんな感じで、協会に4月1日から入ります。ようがんばってると思います。あの子が入ったら、また面白くなると思います。
次回の後編では、上方講談界の分裂と棲み分けの実情、プロとアマの境界をめぐる本音に迫る。さらに「自分を上げる」という信条の背景や、会長としての覚悟、次世代育成への思いも明らかに。スクール構想やスター候補への期待、新作への挑戦など、講談の未来を切り拓く具体策が語られる。現場の葛藤と希望が交差する、読み応え十分のインタビュー。
(文中、敬称略)

▼旭堂南華(なみはや講談協会 公式ホームページ)
▼旭堂南華 X
(5月3日配信予定の〈後編〉に続く)
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