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上方講談の伝統を未来へ繋ぐ、継承者にして開拓者 旭堂南華(中編②)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第36回

後継者育成の現場――面白くなる未来への手応え

南華 昨年、南北兄さんが一旦退会しましたので、今は左燕を入れて7人です。

南華 彼はこの4月に年季明けするんです。南湖とかが大阪に呼んでいて、昨年の11月だったかに、「年季が明けるんで、入れたらどうですか」と言われて、今、なみはやにいる人の弟子は自動的に入っていいことになってます。左南陵兄さんの弟子なので、年季明けまで様子を見ることになりました。私ね、こう見えても、行儀にめちゃくちゃうるさいんですよ。陰でみんなが嫌がるぐらいで、(笑福亭)たまさんに「それは、南華先生のルールですよ」って言われることがあるぐらい、挨拶に行儀、礼儀にうるさいんで、厳し目に見ているんです。

 左南陵兄さんも何も言わんから、左燕には一個一個教えてきました。こないだ左燕に「今日は兄さん、何してはんの?」と聞いたら、「わかりません」「入ったばかりやったら、毎日、師匠のところへいかなかったらいけないくらいやで」と教えたり、一番最初に手伝いに来たいと言った時に、着物も畳まれへんから、何を手伝いに来たんや!って心の中で思って(笑)。うちはみんな基本優しいっていうか。でも私は「なみはや」を名乗るんだったら、礼儀正しくしてもらわんといけないと、一々うるさいんで、周りは「また何か言うとるわ」みたいな感じだと思うんです。

 それでも最近は左燕も「それはおかしいよ」と言うと、「はい、わかりました! 申し訳ございません!」って、言うのはすごい力があります。「そこまでかしこまらんくてもええけど」って(笑)。南鱗兄さんも楽屋で一緒で、その時は何もすることがないし、椅子が三つあるので「そこへ座っとけ」言ったら、「はい!」って言って座らない。「三回言ったのに座らないから腹立った」って、私はめっちゃ面白かったけど、「俺が気遣うやろ」とか言うから、「お兄さん、それは直接言わな、わからんよ。立ってる分には失礼には当たらないと思うとるんやからな」って言いました(笑)。ほかの者も何も言わないから、この間も私が言ったら、「はい!」。最後は向こうも笑ってましたから、「笑いごとやない!」って。

南華 左南陵兄さんも「弟子に来たいという奴がいるんだよ。大須の楽屋口でタバコ咥えたら来て」って言うんで、「なんてけったいな子やろ」思いましたが、南湖のところで習っていたそうで。「お兄さんのところに弟子が来るなんて、そんなこと次はないだろうから、取ったら」って言ったら、「弟子は金がかかるからな」「お金はかかるけど、そりゃ何とかなるだろう。どうせ食べさせるとか、そういうのはせんのやろう」言うたら、「まぁ、そうだけどなあ」って(笑)。

 こっちへ来た時に、ネタを教わったりして、私も師匠から習ったベタベタの大阪弁での『木津勘』を教えたりしました。まだ固いし、『寛政力士伝』なんか暗い顔してやるから、「空板(からいた:前座のこと)でそんな暗い顔でやるのはやめて。もっと明るくやり」言うてます。そんな感じで、協会に4月1日から入ります。ようがんばってると思います。あの子が入ったら、また面白くなると思います。

(文中、敬称略)

旭堂南華(なみはや講談協会 公式ホームページ)

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  • 書名 : 上方講談という愉しみ
  • 副題 : 三代目旭堂南陵が守り伝えた話芸の世界へ
  • 編者 : なみはや講談協会
  • 出版社 : 寿郎社
  • 書店発売日 : 2024年8月
  • ISBN : 9784909281623
  • 判型・ページ数 : A5判・150ページ
  • 定価 : 1,540円(本体1,400円+税)

(5月3日配信予定の〈後編〉に続く)