〈掲載記事400本記念〉 上方講談の伝統を未来へ繋ぐ、継承者にして開拓者 旭堂南華(中編②)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第36回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/05/02
大学生が語った「忠臣蔵」の衝撃的な認識
―― 私はこの間のインタビューでも陽子先生に、神田陽子のこの一席は『南部坂雪の別れ』、それに『瑶泉院(ようぜんいん)』とも言いますが、「赤穂義士銘々伝」の中の『南部坂』ですねと話しました。
南華 ああ、やっぱり。私もあれ好きで、去年、コスモスシアターで、なみはや講談会スペシャルみたいな独演会形式でやった時に『南部坂』を読んだんですが、とても良かったと言ってもらいました。
私はあの中でね、戸田局が「兄上は」と尋ねていく場面がありますね。そこで「弟は? あの子はさぞかし立派になっているに違いない」「ご存じかな? チョではじまって、ザップで終わる、駅の近くにあるところでインストラクターをやってます」「うわあ」と言って怒りはるのを受けて、「いやいやそれだけではないですよ、力自慢で外国人をこうのせて、今はインバウンドで大儲け。投げ銭いっぱいもらって、お金には困っていません。だから安心してください」「もうようございます」っていうようにやって、最後は泣くような感じでやってます。
自分で書く時はかっちりとしたものが多いんで、その時はネタ下ろしでやったんで、ちょっと緊張もしましたし、初心に返る気持ちもあったし、これはまた独演会でやりたいなと思いましたね。
―― 私も必ず泣く話です。『南部坂』と『大高源吾(おおたかげんご)』は必ず泣いてしまいます。
南華 『大高源吾』もいいですね。
―― 大阪でも「義士伝」はウケる、求められるものですか。
南華 そうですね。やっぱりタイトル的にメジャーですしね、みんな知ってるから。テレビ東京で年末にずっとやってた、ああいうのを見て、年末を感じる。知ってる人が多くて、知ってる人が出てくる話として「赤穂義士伝」は人気ですが、若い人がわからないんです。この間の芝居の時でも、「忠臣蔵」の、「赤穂義士伝」の、言うても、ふっこさん(後出のわかぎゑふ)が稽古の時に「大学生に『忠臣蔵』知ってるか?聞いたら、『あの13人くらいで攻めていくやつですか』言うてたわ」って。13人って(笑)。
―― 残りの34人はどこへ行っちゃったんだって(笑)。
南華 13人って中途半端だし、47人のどこもかかってへんやって(笑)。若い人にとっては、「義士伝」ってそれくらいなのかもしれませんね。
―― 大学で講義をしてても、浅野と吉良の関係から話さないとわかりませんし、今の時代、復讐というのが許されるのか?という話になりますから、説明が大変です。何しろ、今の大学生は『水戸黄門』を知らなかったりしますから。
南華 芝居でも長橋君(長橋遼也)って主役やってた子も、水戸黄門の印籠を「茶筒みたい」って言ってました。「茶筒~!」って思わず返しました(笑)。役者でも時代劇をやらない人はわからないから、色々と演技の途中でも、違うやろ、それは違うでと言うてました。
―― 若い人は『暴れん坊将軍』も『大岡越前』も知りませんから。
南華 終わってから、だいぶ経ちますもんね。
―― 松平健さんは、もはやマツケンサンバの人です(笑)。もう民放で時代劇を放送しない時代になりました。
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