〈書評〉 笑点出演者其俤 三〇〇〇回の記録と余禄 (神保喜利彦 著)
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第15回
- 落語
- Books
杉江 松恋
2026/07/20
『笑点』を読み解く一冊
初めて広沢瓢右衛門(ひろさわひょうえもん)をテレビで観たのは、『笑点』の演芸コーナーだと記憶していた。
それがどうやら誤りらしいとわかったのは、神保喜利彦『笑点出演者其俤 三〇〇〇回の記録と余禄』(夜霧書林)を読んだからである。題名の読みは「しょうてんしゅつえんしゃそのおもかげ」でいいのかな。一般には流通していない本だが、AmazonやBOOTHなどで購入が可能なので興味を持った人は注文してみていただきたい。なお、ネット販売では日本テレビに著作権がある番組に配慮してか、書名が『笑点非公式出演者其俤』と表記されている。
神保は労著『東京漫才全史』(筑摩叢書)の著者で、芸能史に関して年齢からは信じられない博識の持ち主だ。すべてを網羅するという熱意があり、以前本欄でも紹介した『香盤残酷物語 落語協会・芸術協会の百年史』(夜霧書林)は、両協会に属した落語家の昇進を年代順に調べ上げた一冊である。これによってさまざまな都市伝説が否定されるに至った。

デビュー作である『東京漫才全史』の執筆動機も、正史がないために伝聞や憶測で東京漫才の、特に戦前から高度成長期に至るまでの歴史が曖昧に語られ、引用が度重なって行われたために、俗説が蔓延するに至った現状を憂いてのものだったと思われる。現在のように生成AIによって真偽定かではない風説が撒き散らされるようになった世情においては、神保のように一次資料を丹念に当たってくれる調査者はありがたい存在である。

長寿番組として安定した人気を誇る『笑点』については、話楽生Web読者に改めて説明する必要はないだろう。誰かが『笑点』に出演するということは、一般的には番組最後の「大喜利」コーナーへのそれを意味する。
だが演芸ファンにはこれまた説明する必要はないと思われるが、即興で謎かけなどのお題を出して演者が珍答を競い合うあれは、本来は興行のおまけであり、もともとさまざまな形式があったものなのである。もちろん、回答の成否で座布団を奪い合うという形式こそは『笑点』最大の発明だった。
いま読まれています!
「令和らくご改造計画」
第十五話 「キモノの呪い」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/10/24
「コソメキネマ」 第十八回
怖くて面白い、面白くて怖い
~心理実験が暴く人間の狂気を描く映画『es [エス]』をご紹介!!
港家 小そめ
2026/10/23
「講談最前線」 第29回
2026年10月の最前線 【前編】 (田辺いちか、真打昇進記者会見 / 宝井琴調、池袋演芸場で初主任)
~田辺いちか先生が真打昇進! 師匠への感謝と芸への愛情が詰まった記者会見の様子をお届け!!
瀧口 雅仁
2026/10/21
「座布団の片隅から」 第17回
好楽
~祝・傘寿! タフすぎる三遊亭好楽師匠の宴
三遊亭 好二郎
2026/09/07
「噺家渡世の余生な噺」 第18回
人に負けないもの
~情熱は、巡ってくる
柳家 小志ん
2026/10/14
「二藍の文箱」 第17回
ニッポンの祭りを呑む
~茨城・石岡の祭りで重ねた出会いと再会の物語。幌獅子、祭囃子、川海老、地酒。その土地の匂いも伝わる、味わい深いエッセイ
三遊亭 司
2026/10/02
「令和らくご改造計画」
第十四話 「踊る金持ちピエロ」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/09/12
「講談最前線」 第30回
2026年10月の最前線 【後編】 (佐渡で講談を想う / 連続物の面白さを味わう)
~佐渡を舞台にした講談・浪曲の名作を訪ね、田辺銀冶先生と宝井琴凌先生による俥読みの魅力に迫るレポート!!
瀧口 雅仁
2026/10/22
「浪曲案内 連続読み」 第14回
ゴーゴー浪曲太陽傳
~東京・お茶の水にある「スカイルーム太陽」。マスターの笑顔が照らす、浪曲と人情の輪
東家 一太郎
2026/10/18
月刊「浪曲つれづれ」 第18回
2026年10月のつれづれ(玉川祐子104歳を祝う会、注目の浪曲公演)
~伝統を守りながら、変化する芸能の姿。浪曲の現在地を描く、月イチ浪曲レポート
杉江 松恋
2026/10/20
「講談最前線」 第29回
2026年10月の最前線 【前編】 (田辺いちか、真打昇進記者会見 / 宝井琴調、池袋演芸場で初主任)
~田辺いちか先生が真打昇進! 師匠への感謝と芸への愛情が詰まった記者会見の様子をお届け!!
瀧口 雅仁
2026/10/21
「令和らくご改造計画」
第十五話 「キモノの呪い」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/10/24
月刊「浪曲つれづれ」 第18回
2026年10月のつれづれ(玉川祐子104歳を祝う会、注目の浪曲公演)
~伝統を守りながら、変化する芸能の姿。浪曲の現在地を描く、月イチ浪曲レポート
杉江 松恋
2026/10/20
「浪曲案内 連続読み」 第14回
ゴーゴー浪曲太陽傳
~東京・お茶の水にある「スカイルーム太陽」。マスターの笑顔が照らす、浪曲と人情の輪
東家 一太郎
2026/10/18
「講談最前線」 第30回
2026年10月の最前線 【後編】 (佐渡で講談を想う / 連続物の面白さを味わう)
~佐渡を舞台にした講談・浪曲の名作を訪ね、田辺銀冶先生と宝井琴凌先生による俥読みの魅力に迫るレポート!!
瀧口 雅仁
2026/10/22
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第50回
好奇心が切り開く、新しい講談の世界 一龍斎貞奈(後編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/10/17
「コソメキネマ」 第十八回
怖くて面白い、面白くて怖い
~心理実験が暴く人間の狂気を描く映画『es [エス]』をご紹介!!
港家 小そめ
2026/10/23
「噺家渡世の余生な噺」 第18回
人に負けないもの
~情熱は、巡ってくる
柳家 小志ん
2026/10/14
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第41回
一途に講談を生きる 田辺いちか(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/14
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第48回
好奇心が切り開く、新しい講談の世界 一龍斎貞奈(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/10/15
月刊「シン・道楽亭コラム」 第18回
ありがとうございました、龍玉師匠 ~112席の宝物
~もっともっと、あなたの落語を聴きたかった
シン・道楽亭
2026/10/10
「古今亭佑輔とメタバースの世界」 第14回
恩返し
~師匠から頂いた「佑輔」という名前は、今も進む道を照らしてくれる
古今亭 佑輔
2026/10/05
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第41回
一途に講談を生きる 田辺いちか(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/14
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第13回
「継続は力なり」ではない
~僕を待っていた、悲しい結末。“計画倒れ人生”を笑い飛ばす愉快な実話エッセイ!?
桂 三四郎
2026/09/29
「講談最前線」 第29回
2026年10月の最前線 【前編】 (田辺いちか、真打昇進記者会見 / 宝井琴調、池袋演芸場で初主任)
~田辺いちか先生が真打昇進! 師匠への感謝と芸への愛情が詰まった記者会見の様子をお届け!!
瀧口 雅仁
2026/10/21
「くだらな観音菩薩」 第18回
羅怙羅尊者
~浪曲女子との共演から生まれた新たな夢と、仏様が教えてくれる心の優しさ。笑いの向こうに、芸人の胸の内が見えるコラム
林家 きく麿
2026/10/16
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第18回
友達ほしい
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/10/03
「テーマをもらえば考えます」 第14回
師匠のコーヒーは
~笑いも苦みもたっぷり、師弟をつなぐコーヒーの思い出を綴ったエッセイ
三遊亭 天どん
2026/09/30
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第48回
好奇心が切り開く、新しい講談の世界 一龍斎貞奈(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/10/15
「お恐れながら申し上げます」 第14回
噺家の衣替えの話
~いちばん大変なのは、半衿の縫い付け?
入船亭 扇太
2026/10/11
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第9回
優雅な航海中の後悔を公開
~“憧れの仕事”から繋がる伏線が鮮やかな船旅エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/04/13
月刊「シン・道楽亭コラム」 第18回
ありがとうございました、龍玉師匠 ~112席の宝物
~もっともっと、あなたの落語を聴きたかった
シン・道楽亭
2026/10/10
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
編集部のオススメ
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第13回
「継続は力なり」ではない
~僕を待っていた、悲しい結末。“計画倒れ人生”を笑い飛ばす愉快な実話エッセイ!?
桂 三四郎
2026/09/29
「令和らくご改造計画」
第十四話 「踊る金持ちピエロ」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/09/12
月刊「シン・道楽亭コラム」 第17回
演芸ファンがほしかったスマホアプリを作りました ――「ご贔屓手帖」ができるまで
~ファンの小さな困りごとから生まれたアプリの物語
シン・道楽亭
2026/09/09
「座布団の片隅から」 第17回
好楽
~祝・傘寿! タフすぎる三遊亭好楽師匠の宴
三遊亭 好二郎
2026/09/07
「オチ研究会 なぜこのサゲは受けるのか?」 第十七回
四段目、 そば清、 愛宕山
~初心者でも楽しめる、オチがもっと面白くなる落語入門
林家 はな平
2026/09/06
「艶やかな不安の光沢」 第4回
N氏の碑から浪江の海まで
~長崎の碧い海から、忘れられない故郷の海へ。喪失と希望のロードムービーのようなエッセイ
林家 彦三
2026/09/04
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第17回
ありがとう失言、待っているよ暴言
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/09/03
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第41回
一途に講談を生きる 田辺いちか(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/14
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25