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海水浴は、だいたい思い通りにいかない

「かけはしのしゅんのはなし」 第15回

海水浴は、だいたい思い通りにいかない

楽しいはずの家族旅行に、次々と試練が……(画:信吉)

春風亭 かけ橋

執筆者

春風亭 かけ橋

執筆者プロフィール

 みなさん、海水浴に行っていますか?

 海水浴客の数は、1980年代のピーク時に比べ、なんと9割近く減少しているそうです。なにしろ準備や後片付けが大変。「砂で汚れる」「塩でベタベタする」「着替えやシャワーが混雑する」「アクセスに車が必要」など、タイパやコスパが叫ばれる世の中で面倒事が多いとなれば、海水浴客が減少するのも頷けます。

 そういった世の中の流れに逆らって、我が家は夏に家族旅行で海水浴に出かけます。若手二ツ目が家族旅行で海水浴だなんて、ゆとりがある生活かと思われますが、とんでもありません!

 妻と旅行のスケジュールを決めるときに「この3日間は空いているけれど、仕事が入ったら行けないよ」と伝えます。……ただ、そういうときに仕事が入ることはまずありません。家族旅行に行ける喜びの前に、己の落語家人生への不安がよぎります。

 楽屋の先輩方からも、いろいろな家族旅行の苦労話を伺います。

 若い頃に売れに売れまくった、ある師匠。働きに働いて、ようやく落ち着いたからと「家族で旅行に行こう」と提案したら、大きくなったお子さんたちに「都合が悪い!」とあっさり断られたそうです。ハイボール片手に語る姿には、哀愁が漂っていました。

 別の師匠は、リビングでゴロゴロしながらテレビを見ていたら、キャリーバッグを転がして玄関に向かう奥様と娘の姿が。「どうしたの?」と尋ねたら、「今から二人でハワイに行ってくる!!」と言われたのだとか。

 また別の師匠は、打ち上げの酒席で「自宅に自分の居場所を作ることがどれだけ大切か」を深夜1時過ぎまで熱く語っておられました。しかし、「この時間まで飲んでいたら、おかみさんも怒るだろうし、居場所がなくなるのも当然では……」と、前座時代に思った記憶があります。