〈掲載記事400本記念〉 上方講談の伝統を未来へ繋ぐ、継承者にして開拓者 旭堂南華(中編①)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第35回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/05/01
『シン・傾城阿波の鳴門』が描く極限の母性
―― 面白い話ですね。ほぼあらすじを聞いちゃいました(笑)。ならば先生の高座を聴かねばならない!
南華 面白いんですよ、これが(笑)。で、『伊賀越道中双六』(いがごえどうちゅうすごろく)、あれを描いてる時に亡くなる話で、お弟子さんみたいな女の人がいてて、義太夫が大好きで、義太夫を自分でも書くようになって先生に見てもらうと、最後にお前が私の後を継いで書いてくれ。で、近松門左衛門が使ってた文机があるので、これを使って最後まで書いてくれって、その場面は私が勝手に作って入れたんですが、それで近松半二と共著にすればいいからと。執念で書いて、次に繋いでいこうという、最後が憂いを帯びている、そんなんのが好きですね。
『シン・傾城阿波の鳴門』は、本当に子殺し(笑)。子殺しを押し出してます。お母さんのお弓さんは、本当は自分の子どもである“おつるさん”にいっぺん国元に帰って待ってなさい言うて、おつるさんを帰したんやけど、なんでそんなことしたんやろって、あんな亭主はほっとこうと思って探しに行くんだけど、見つからんで帰ってきたら、もうつるは死んでる。お弓は亭主の十郎兵衛に「あんたよくそんなことしましたね」「いやあ、娘と知らずに殺してしまいました」と。娘じゃなくてもこんな小さな子をたかが金のためによく殺したな、みたいに十郎兵衛を殺そうとしたところに追手が来て、結局、戸板の下に娘の死骸があるのを踏みつぶされそうになったから、自分で火葬にしてやると火を点けて、逃げて行ったところで奥さんが十郎兵衛を責める。
で、こうなったら私も行くところがないから、刀が見つからんかったら娘は無駄死にになるって、あんたのためじゃないけど、刀を見つけるために行く!って、小野田郡兵衛(おのだぐんべえ)の家へ。するとそこで高尾が捕まっているじゃないですか。高尾太夫が郡兵衛のところの座敷牢に入っていて、実は私の話はその高尾がめっちゃ活躍するんですよ。郡兵衛を騙して、全部が終わって刀を見た時に、「まさしく国次」って言って、軍兵衛が捕り方に捕まって出ていった後に、「よくやった! 家に戻って来てええよ」と十郎兵衛に言うたら、「ありがとうございます」と頭を下げたその体で小刀を取って、自分は死のうとする。
ほんなら、その奥さんが「こんなところで死なせるか」って手を取って、「あんた、死んで楽になるつもりやろ。そんなことはさせん。あなたは悔いて、贖罪して、死ぬまでちゃんと生を全うするまで、自分のやったことを反省するんや」言うて、二人で私も一緒に行きますからって言って、二人で旅に出ていく、で終わり。私のやり方では家へ戻せんのです(笑)。みんなが「ええ~」言います。娘殺して「ああ、ありがとうございます」言うて、家に戻ってめでたしめでたしみたいな、そんなことは絶対にさせません。
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