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我と来て 遊べや母を 呼ぶ娘

「朝橘目線」 第14回

 無心で読んでいると長女が「ねえお父さん、これ面白いよ」と、『はれときどきぶた』の日記を見せてきた。うん知ってる、鉛筆の天ぷらね。あったあった。でも今お父さん、ホイホイ商事のことでいっぱいだから。そっちで読んでて。

 またしばらくして長女「ねえねえお父さん、これ、日記が消しゴムで」。そうそう、全部消し切れてなくてね。でも今ラーメン部長の中森君がね、丸福ラーメンをもう一段階、美味しくする改良したとこなの。この辺からラストまで一気にいきたいから、そっちで読んでて。報告しなくていいから!

 ……楽しむ我が子を見ていれば満足とか、どの口が言ったんだ。

 古典落語『初天神』の父親は、こういう奴だと思う。童心に返ることができた。若返りの魔法みたいだった。そこにある「ズッコケ三人組」シリーズ全巻読みたくなる衝動を、どうにか抑えて家路についた。

 年を重ね、やることも増え、過去を忘れがちな日常である。でもそれはとても表面的なことで、一枚めくればそこにあの頃の子どもが、ちゃんといる。老い続ける体の奥底に。そしてありがたいことに、今はその少年の感動を、我が子に伝えることができる。

 塩対応だったのは認めるが、娘が『はれぶた』読んでケラケラ笑うの、ホントは嬉しかった。自分の中の子どもが、娘と感動を共有する。こんな経験、ほかじゃできない。山下達郎さんの『僕の中の少年』という曲が、まさにそんなテーマを扱った作品だったかと。