みちのくツバメ旅

「浪曲案内 連続読み」 第12回

展勝地で教わった浪曲の原点

 葉桜が多くなった平日、テーブルに座るお客様が少なかった時、周りの屋台のお兄さまお姉さまが、お好み焼きに似た「うす焼き」という岩手の郷土料理を持って来てくださった時は、人の情けに泣きました。

 割り箸に挟んだご祝儀を持って来てくださったり、屋台から拍手と掛け声をかけて盛り上げてくださったり。最終日までにお客様と屋台の皆様、展勝地の皆様と一体になって新作浪曲『北上展勝地ものがたり』を作り上げることができたと感じています。

 これぞ浪曲の原点。木馬亭定席で、自分の会で、お仕事で、すでに会場にいらしたお客様に芸を見ていただける。これは当たり前のことではない。展勝地で新たなフェーズ(流行りの言葉!)に、芸を鍛えていただきました。音響も素晴らしかったです。

 そうそう、北上展勝地へ東京から観光でいらしたお客様が、横浜での独演会にもいらしてくださいました。これも嬉しかったです。岩手と東京横浜、ご縁が繋がりました。

 展勝地には「うれしいひなまつり」の作詞で知られる詩人サトウハチローさんの記念館もあります。現在は休館中ですが。先日亡くなった作家の佐藤愛子さんのお兄さんですね。

 サトウハチローさん作詞で私が好きな歌に霧島昇さんの「胸の振り子」という歌があります。

 服部良一さん作曲のムーディーな曲です。こういうロマンチックな歌が好きなんです。