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2026年7月の最前線 【後編】 (聴講記:講談協会定席 / 講談『太閤記』小考④)

「講談最前線」 第23回

 注意すべきは、だからと言って、ここで何が正しく、どう間違っているかという指摘をしたい訳ではない。

 あくまでも『太閤記』は豊臣秀吉の人生を輝かしいものにしようという力が働き、美化され、一種の権威付けのためにフィクショナルな内容を取り入れながら、物語として大成されていったということである。また、秀吉の人生が物語として、講談の題材として魅力的であったからこそ、その人生を彩る逸話が加えられていったとも言えよう。日本人は根生い(ねおい)ではなく、貧乏な暮らしから出世街道を歩んでいく人物伝を好むのである。

 そうした視点から、講談としての『太閤記』の物語の流れを考えていった場合、先に刊行した『講談事典』(丸善出版)では、その概要と有名な場しか紹介しなかったが、改めて“講談的『太閤記』”の副題を考えた場合、以下の通りになる。

 現在、放送されているNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』では、いよいよ主君織田信長が明智光秀に討たれるところまで進んできたので、今回はそこまでの流れを以下に挙げる。


①矢矧橋(日吉丸の誕生、太閤の生い立ち、秀吉と易者、日吉丸の誕生)
②藤吉郎の初陣(藤吉郎伊東日向守を討つ)
③藤吉郎 信長に仕官
④間違いの婚礼(高砂)
⑤佐屋川の一番渡り(佐屋川合戦)
⑥清洲城の三日普請
⑦長短槍試合
⑧藤吉郎の偽書状
⑨清洲城大評定
⑩桶狭間前夜
⑪桶狭間の戦い
⑫美濃征伐
⑬藤吉郎 洲股城主となる


⑭藤吉郎の密計
⑮竹中半兵衛庵中問答(栗原問答、栗原山問答)
⑯千成瓢箪の由来(稲葉山落城)
⑰信長の政略結婚
⑱信長上洛
⑲甕割柴田の活躍
⑳姉川の戦い(浅井朝倉の滅亡、朝倉攻め、磯野丹波守の奮戦)
㉑藤吉郎、羽柴筑前守となる
㉒藤吉郎、中国探題となる
㉓千古の美談
㉔本能寺の変前夜(信長と光秀)
㉕本能寺(本能寺の変)


 上記カッコ内は別題を示す。

 繰り返しになるが、あくまでも“講談的に”筋や展開を追って行った時の副題であり、上記のものは、四代目馬琴版、二代目南陵版に加えて、昨今『太閤記』を連続で読んでいる旭堂南海の流れを参考にした。(この項続く)

(以上、敬称略)

瀧口雅仁 X

(毎月13日頃、配信予定)