2026年8月のつれづれ(「浪曲 陰陽師 迷神・打臥の巫女」、「浪曲 巷説百物語 芝右衛門狸」、港家小ゆきの挑戦)
月刊「浪曲つれづれ」 第15回
- 浪曲
杉江 松恋
2026/08/15
7月25日の小田原公演は、コアな浪曲ファンよりも地元にお住まいの方が多かったように思う。2年連続の公演で、天中軒すみれの浪曲が小田原の地に根を下ろしつつあるのだ。こうした活動は必要だろう。原作ファンも多く、遠方から足を伸ばしてくださった方の姿もあった。
本稿掲載時にはすでに8月11日の大阪公演(新世界ZAZA・ZAZAHOUSE)は終わっているが、8月23日の東京公演(北とぴあ・ペガサスホール)はまだ予約受付中なので、ぜひ足を運んでみていただきたい(チケットぴあでの予約は、こちら)。
浪曲で描く妖の世界「浪曲 巷説百物語 芝右衛門狸」
その天中軒すみれの小田原公演の1週間前、東京のやはり北とぴあ・ペガサスホールでは、これも2年目を迎えた真山隼人・沢村さくらコンビの「京極夏彦・原作 浪曲 巷説百物語」公演が行われた。
2年目の演目は、第1巻『巷説百物語』より「芝右衛門狸」の1席である。小悪党の御行の又市チームが、妖怪にまつわる巷説を利用して、悪人どもに意趣返しをしていくという連作で、「芝右衛門狸」は四国の狸合戦がテーマになっている。
第1作「小豆洗い」は主要メンバーの紹介篇という意味合いもあったが、今回は御行の又市一味が策謀を巡らせていくさまが周到に描かれていく。前作より長めの原作ということでどうまとめるかと思ったが、真山隼人の台本はさすがで、最後は一気呵成に駆け抜けた。7月26日に大阪公演を終え、無事に2年目を打ち上げている。公演の最後には、次年度に向けて期待が膨らむ発表があった。

その真山隼人からもう一つ重大発表がされている。文芸路線の最新作として、きむらゆういち原作の名作児童文学『あらしのよるに』(講談社)を浪曲化することが発表されたのだ。現時点で決まっている公演は2回、10月18日に大阪・山本能楽堂、11月23日に東京・北とぴあ・飛鳥ホールである。
普段、浪曲に縁のないファミリー層の観客にも訴える原作であると思う。新たな試みがどのような実を結ぶか、楽しみである(チケットのご予約は、真山隼人公式サイトの公演チケットのお申込みまで)。

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