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2026年8月のつれづれ(「浪曲 陰陽師 迷神・打臥の巫女」、「浪曲 巷説百物語 芝右衛門狸」、港家小ゆきの挑戦)

月刊「浪曲つれづれ」 第15回

感情を爆発させる浪曲「港家小ゆき 15年目の挑戦」

 8月の木馬亭定席は、今年で14年目になる港家小ゆきが、1日に初めて主任を任された。

 既報のとおり、他の語り芸でいえば真打にあたる15年目に向けて気勢を上げており、今もっとも勢いを感じさせる浪曲師の一人でもある。初主任の舞台では、宮本旅順名義で幸徳秋水(こうとくしゅうすい)の原作を浪曲化した「兆民先生」をかけている。

 これに先立って7月20日にアートスペース兜座で開催された「港家小ゆき15年目の挑戦 第2回」では、これも自作となる、黒人救済活動に従事したハリエット・タブマン伝を2席務めた。

 タブマンは南部州から北部に逃れて奴隷身分から解放されるのだが、それに飽き足らず再度南下して多くの同胞を救済しようとする。その思いを伝えようとするのだが、北部の人々には彼女のもどかしい気持ちはわかってもらえない。あまりの熱量を受け止めきれず、持て余しているかに見える事務方を前にハリエットは突如、「ペンば置けっ」と激昂、奴隷解放がいかに急務であるかを並べ立てる。

 この怒りははっきり言って理不尽で、事務員は何も悪くないのだが、だからといって怒るなというのはおかしい。ひとは怒る時には怒るべきで、それをお行儀が悪いといって退けようとするのは、一見正しく見えるが、実は事態の矮小化に手を貸すことにもなりかねない。時にはあたりかまわず感情を爆発させるのだ、という姿勢は、実に浪曲的なものであった。

 港家小ゆきは、浪曲の世界にシャウトを持ち込もうとしている。シャウト、感情のままにシャウト。