来る春や 妻啼き我の 目は涙
「朝橘目線」 第9回
- 落語
三遊亭 朝橘
2026/01/08
行ったり来たりの一年、記憶はところどころ不在
一年間の行動を手帳で俯瞰すると、二ッ目の噺家として、そこそこ忙しく過ごしていたようである。
異質な記録としては、4月13日の日曜日に「新宿 好の助と人形買い」と書かれている。まったく思い出せない。何とも禍々しい文言である。忘れたままで良さそうだ。1・4に新日本プロレス東京ドーム観戦、3・6には同じく東京ドームで、ローリングストーンズのライブを鑑賞したりと、仕事以外も何だか楽しそうにしている。良いご身分だ。
この年の誕生日も、鮮明に記憶している。故郷・沼津市の小学校で児童向けに二公演、先生方向けに一公演。その後、急いで帰京し、懐かしの道楽亭で独演会だったか、誰かと二人会だったか。一日中喋り倒して、合間にもぐりこんだ新宿二丁目交差点にあるドトールでの一服が、実にうまかった。当時は煙草も吸っていた。楽しい一日だった。
成功か失敗か、勝負したかは分からないけど、馬車馬のごとく動き回る一年だったようだ。前年に兄弟子・三遊亭萬橘兄が真打に昇進し、一門の二ッ目筆頭になったことで、あれこれやることが増えたんだと思う。年間最多口演演目の通り、行ったり来たりしていた。一年の計は元旦にあり。あの一席が、この年を決めたのかもしれない。
なるほど、よくわかった。初手が肝心だ。
というわけで今年、2026年。仕事始めは元旦、故郷・沼津市にて。このコラムが人目に触れる頃にはもう済んでいるが、これを書いているのは2025年の暮れ。最高の一席をお見舞いしようという気概が満ち満ちている。なるべく明るく笑える、そしておめでたい噺をやろう。
躍動・成功の年にしたい。仕事だけじゃなく、もっと年男としてふさわしい振る舞いを心がけなくては。やはり年男として思い付くのは、節分の豆まきだ。あれはやってみたい。考えてみると、まだ自分は一度も裃(かみしも)ってやつを着たことがない。豆まきやりたいな。今から肩を作っておこう。
皆様、今年の豆まきは、三遊亭朝橘にお任せあれ。
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