オシャレは落語家を変える
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
- 落語
桂 三四郎
2026/06/28
みんな詐欺師
僕は、アパレルの店員のほとんどは嘘つきだと思っている。
僕は手足が長く肩幅が広いのに、体が細いという体型のため
袖の長さに服を合わせるとダボダボになり
体の細さに服を合わせると袖が短くなる。
だからジャストサイズの服がなかなか見つからない。
そんな時に
「いや、ちょっと肩がきついです」
と言うと、決まってアパレルの店員はこう言う。
「でも、全然その感じでもおかしくないですよぉ~。それにぃ~、着ている間にぃ伸びてぇ馴染んできますよぉ~」
こういうセリフを聞くたびに
「こいつらは自分の売上のためなら、人を騙しても心に何の罪悪感も感じない詐欺師だ」
と思っている。
なぜ着た瞬間から着心地の悪い服を買わないといけないのか。
どう見てもサイズの合っていない服を着た僕を見て
「いやぁ、ぴぃったりですねぃ~」
と何の感情も持ち合わせていない表情ですすめてくるアパレル店員は
買った服のサイズが全然合ってなくて、家に帰って落ち込むお客さんのことなど
何一つ想像しない本物の悪人だ。
こういう平気でお客さんを騙すアパレル店員の一言は
法に触れてない詐欺だとすら思っている。
それに何より、服を選んでいると頭がフラフラして
う○こが漏れそうになる。
だから、いつからか冬服以外は、ほとんどセットアップの服を買うように決めた。
セットアップだと、めちゃくちゃダサくなることはないだろうし
サイズさえ合えば良いのだから、選んでるうちにう○こが漏れる心配もない。
そう思って夏物の青のセットアップを着て楽屋に行ったら
「お前その格好、ゴミの清掃員みたいだな」
と言われてしまった。
ほかのセットアップを着ていたら、ある女性からは
「中にゆるめのタンクトップを着ているのがものすごく嫌だ」
とインナーのダメ出しを受ける始末。
いっそのこと、夏場は私服を浴衣にしてやろうかと思って浴衣で歩いたら
半笑いの女性に
「花火大会、明日ですよ(笑)」
と笑われてしまった。
いっそのこと、毎日喪服で歩いてやろうか。
おしゃれとかダサいとか以前に、縁起が悪いやつだと思われてしまう。
「あいつ、いっつも誰かの不幸ごとに顔出してるよな」
と噂が立って「死神」というあだ名がつくかもしれない。
とにかく、歳を重ねるごとにどんどんファッションが嫌いになる。
それでも若い頃は、多少の憧れもあった。
ただ、3年間の修業生活の中で、その感覚は薄れてしまったのかもしれない。
修業中は服にかけるお金などないし
もし、おしゃれな服を着ていたら
「修業中の弟子が何おしゃれしとんねん!!」
とお叱りを受けるかもしれないからだ。
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