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プロレタリアの街

「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回

22年経って、僕は新開地に帰ってきた

F産業の所長は、もともと優秀な銀行マンだったらしいのだけど

奥さんがこのF産業の元請け会社の社長の娘さんで

会社の後を継ぐことを条件として結婚したそうだ。

銀行員とは思えないほど、めちゃくちゃ迫力があって怖かったが

僕らにはすごく優しかった。

僕が最後の現場を終えて、所長から日当を受け取り

「お世話になりました。ありがとうございました」

とお礼を言うと、所長はすごく優しい声でこう言った。

「野津くん(僕の本名)、絶対にここに戻ってきたらあかんで」

「いつでも戻っておいで」じゃなく

「絶対戻ってきたらあかんで」という言葉は

最悪、ここに戻ってきたらいいなんて甘えた考え持ったらあかんぞ

しっかりまともな生き方をするんやぞ、というエールに思えた。

落語家になった時に

うまくいかないと、またあそこに戻ることになるかもしれない――

そういう危機感を持って生きてきた。

あれから22年の時が経ち、まさか落語家として寄席でトリを務めるために

新開地に戻って来るとは思わなかった。

所長もまさか僕が新開地に戻ってきたとは思ってないだろうし

一時期バイトしてただけの大学生をいちいち覚えていないだろう。

今やそのF産業は跡形もなくなってしまっている。

あの時とは街も格段に綺麗になって

汚いおじさんもかなり減っていた。

毎日、帰り道で誘ってくる謎のいかがわしい店「しんとみ」の客引きのおっさんもいないし

「お願いだから、お兄ちゃん1杯だけ飲んでよ~」

とおねだりをしてくるオカマのおじさんももういないし

「いらっしゃいませどうぞ~、美味しいですよ~」

と、まったく気持ちのこもってない呼び込みをする中華料理屋の子供もいない。

22年前に人生の厳しさ、世の中の残酷さを知った新開地。

今になって、こんなに希望に満ちあふれる街になるとは思わなかった。

トリを務めた1週間は、落語家になって一番幸せな1週間だった。

もう戻ってくるなと釘を刺された新開地

僕は、この神戸新開地喜楽館で故郷に錦を飾りたい。

次に戻ってこれるのが楽しみすぎる。

(文中、敬称略)

桂三四郎 公式サイト

https://346katsura.com/

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  • 日程:
  •  2026年11月8日(日)
  •  開場 9:30 開演 10:00
  • 会場
  •  神戸新開地・喜楽館
  •  (神戸市兵庫区新開地2-4-13)
  •  → Googleマップ
  • 出演:
  •  桂 三四郎
  •  桂 笑金(開口一番)
  • 料金:
  •  前売 2,500円 当日 3,000円
  •  学生 1500円
  •  (全席自由席)
  •  
  • ご予約:
  •  ①チケットぴあ
  •   → 桂三四郎ひとり会
  •  ②セブンイレブンマルチコピー機
  •  ③喜楽館チケット窓口
  •  ④LINE
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(毎月24日頃、配信予定)