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プロレタリアの街

「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回

強烈すぎるおじさんたち

ただ、やはりここに来る人たちは個性を通り越して異常な人たちが多かったように思う。

映画でよく見る強制労働をされている人が綺麗に見えるほど汚い

「福ちゃん」というおじさん。

肉体労働をした後、風呂には入るのだが、決して頭を洗わない。

汗をかき、濡れた頭に砕いた時に出るコンクリの粉が張り付き

またある日は砂ボコリを浴び、またコンクリの粉にまみれる。

これを繰り返した福ちゃんの頭は、カチコチに固まっていた。

ある日、福ちゃんがたまたまヘルメットの具合が悪かったのか、はたまた頭が痒かったのかわからないけど、作業中にヘルメットを被り直したことがあった。

その時、拳より少し小さいくらいの砕けたコンクリのかけらが福ちゃんの頭にカツーンと当たったのだ!!

事故や!!!!!

その場にいる全員がそう思った。

ひょっとしたら大怪我で工事が中断されるかもしれない、と全員が思ったのも束の間

福ちゃんは「あっぶねーなー、ちくしょー」と言って、ちょっと頭を撫でただけで済んでいた。

普通の人なら大怪我してもおかしくないのだけど、何年間も頭を洗わないでコンクリを浴び続けていたせいなのか固まりすぎて

髪の毛が天然のヘルメットのようになっていたようだ。

ほかにも夜勤終わりで事務所からの帰り道「お疲れ様~」と言いながら、植え込みの隣に段ボールを引いて寝転んだおじさん。

「え? 何してますのん? うち帰りませんの?」

と聞くと

「いや、妹の家に今厄介になってるねんけど、こんな朝早くに帰ったら怒りおんねん。だからここ少し寝て帰るわ!!」

いろんな事情もあるんやなーと思って、次の日の朝、事務所に行く途中、同じところでおじさんは寝ていた。

二日続けて夜勤だったのか、3000円の寮費を取られるのが嫌で、外で寝泊まりしていたのか今となってはわからない。

会社の外にもヤバイおじさんはいて、とある左官職人(コンクリで壁を塗る人)は壁を塗りながら

「うーん、ちょっと硬いな~」

とぼやいていた。

“硬い”というのは生コンのことで、セメントと砂と水を混ぜ合わせて作るのだけど、暑さが厳しかったせいか、生コンが思ったより硬かったようだ。

あ、水がいるのかな? と思った最中、そのおじさんは手に持った生コンにペッ!と唾を吐きかけた!!

え???

なんと自分の唾で生コンの硬さを調節していたのだ!!

おじさんは何度も唾をペッペッ!と繰り返し唾を練り込み、壁を仕上げていく。

まさかこの部屋の入居者も壁におじさんの唾が練り込まれているとは夢にも思わないだろう。。。

唾を使って壁を作るなんて。

ツバメが巣を作る時に唾液で壁を塗り固めるようなもんか……。