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第十五話 「キモノの呪い」

「令和らくご改造計画」

#5

 そんなことを考えながら、例によって楽屋の隅で頭を抱えていると、突然、頭の上から何かが降ってきた。

 次の瞬間、目の前が真っ暗になる。

 「ぎゃあっ!」

 慌てて声を上げると、すぐに視界が戻った。振り返ると、そこに立っていたのは、前座の装服亭服子(しょうふくてい・ふくこ)さんだった。

 彼女は、もともと芸術大学で服飾を学び、デザイナーを目指していた。しかし、在学中に落語という文化へ興味を持ち、卒業後、そのまま落語家になったという異色の経歴を持つ。

 年齢は二十四歳。青みを帯びた黒髪に、透き通るような青白い肌。大きな瞳と整った顔立ちは日本人形のようで、かわいらしさの中に、どこか人を不安にさせる怪しさもあった。

 そんな服子が、こちらを見て、にやりと笑う。

 「お似合いですよ、兄さん」
 「何がお似合いなんだよ」

 そう言いながら、自分の身体を見る。銀色の大きな布のようなものが、首から下をすっぽり覆っている。頭だけが、そのてっぺんから突き出していた。

 「これ、何?」

 服子は、当然のように答えた。

 「あれですよ。床屋の」
 「あれ?」
 「散髪する時に、上からかけられる、床屋の“アレ”です」

 そこまで言われて、ようやく分かった。美容室や床屋で髪を切る際、服に髪の毛が付かないよう、首から下へかけられる大きな布。確かに、床屋の“アレ”だった。正しくはケープとかなんとか言うらしい。

 「いや、なんで急に床屋の“アレ”をかけるんだよ」

 すると服子は、静かに言った。

 「呪いを解くには、着物を脱がすしかありません」

 第十五話 「キモノの呪い」――