〈書評〉 暁星 (湊かなえ 著)
「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第11回
- 落語
- Books
笑福亭 茶光
2026/05/01
事件と小説が交差する衝撃の人間劇
心の隙間に入り込む「歪んだ善意」
宗教に翻弄された家族の物語――。
『暁星』 (湊かなえ 著)
主人公の永瀬暁(ながせあかつき)は、母校で開催された『全国高校生総合文化祭』の主賓として来校した文部科学大臣の清水義之を、体育館の舞台上で刃物で刺して殺害する。逮捕後の永瀬暁の告白から、大臣の清水と、その背後にある愛光教会(世界博愛和光連合)という宗教団体との繋がりが明るみに出る。
永瀬暁の手記という形で、物語は進む。愛光教会と出版業界の密接な関係、亡くなった父で小説家の長瀬暁良の財産を愛光教会に注ぎ込む母……。
善意というのは、必ずしも正しいわけではない。その人にとって正しいだけ。周りから見たらその正しさがどれだけ歪んだものでも本人は悪意がないので、その歪んだ正しさを善意として広めてしまう。そして広めれば、誰かの心には届いてしまう。特に弱った心の隙間。
この世は、老いも若きも男も女も心のさみしい人ばかり、そんな皆さんの心のスキマをお埋めいたします。いえ、お金は一銭もいただきません。ドーーーン!!! この物語と喪黒福造は関係ない。子供の頃、テレビ番組『ギミア・ぶれいく』内で放送されていた『笑ゥせぇるすまん』を楽しみに見ていた。
喪黒福造は、怖い人間だと思っていたが、お金は一銭もいただきませんというのだから、喪黒福造は献金を執拗に求めてくる団体よりは怖くないのかもしれない。いや、金が目的じゃない方が怖いのか? しかし、喪黒福造も基本的には善意で行動している。過激なことも善意だと思えたら、間違った周りを正すために強く行動できてしまうのかもしれない。そして信念を持った強い言葉は、心の隙間に届いてしまうのだろう。心の隙間から、自信は漏れ出てしまう。
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